詩誌詳細「ぷあぞん」




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詩誌の情報と販売サイト 44プロジェクト Last Updated 2012-05-25

詩誌紹介

ぷあぞん

最新号

24号

在庫のある号数 

2,3,4,5,6,7,8,10,11,14,19,20,22,23,24

発行人

松尾真由美

創刊年月日 

19975年7月5日

同人

なし(個人誌)

定価 

500円

最新号執筆者

松尾真由美

最新号推薦作品

不穏な音域その他のこと
松尾真由美

             おだやかに雨に濡れる一枚の葉のようにしずかな面持ちで
ゆらめくみどりになりたくてそっとあなたのくちびるへとわたしの指先を近づける発語
の官能は暗礁のおののきをいつまでも隠していてこの暗号を解いてみよ本当の体温をは
かってみよ熟睡の密度をよそよそしく正してみよ巣の穴が水浸しで語られぬ言葉がある
溺れてしまえばいいのだけれど波と波とがぶつかるごとにしろく気ままにエチュードエ
チュードこれだけやっておけばいい怪我はなおって傷も消えるいずれ旅立つ日のために


             残照が花のしべをふるわせるそうした誤謬は美しく白昼夢
に落ちればいいわたしの足のむくみのあたりに冷たい水が流れている手がかりのない行
路は効果的な洞窟です叫びが多大にかえってきて重層的な悲哀に酔ってマティーニでも
飲みますかあまやかな荒涼にて迷子の笑顔を望むのだ後方の雨天と曇天だんだんとから
まって落書きされた心が乾き帰還と出発これらはいつも混じりあい横たわった死体がほ
ほえむ停滞を楽しむさ骨格を歪ませ希いはエスプレッシ―ヴォ少しただれて手元にある


             あざとく動く舌があるまして夏の終わり無垢な熱度が沸点
を過ぎたころくすぶる煙が目にしみるイヒヒヒヒが透けてくるホイホイが笑っているハ
ハハハハハハこちらも笑う何だか失意も浮いていて空中の虫になりたいターンターンき
れいに逃げれば勝ちになっていや勝敗なんてないのだけれど後味だけにこだわるの出口
よ出口よわたしをやさしく迎えてくれろこれを脱皮というのでしょうか?考察と疲労と
悔悟と情操かきまぜると石をかたどりあら不思議あそこもここも般若の顔で立ちすくむ


             薄闇が続き過ぎると目が見えなくなるのです下降していく
混沌を無意識にはぐくんで薄闇から暗闇へもっと泥をまぶしている生体よこそげ落とせ
よその醜悪なゆるい安寧は虚偽の口を膨らませるむごたらしい濃霧のしたたりに濡れた
くはないのだから狂騒を忌避するためにぬるい出血に包帯を投げかけて月明かりのもと
に逃げこむ滞る滞る全身が置き去りにされている悲劇は喜劇にしかならない悲劇となり
あれはもう潰れた丘けれども隆起したがる臓物のくさみがああ充満して周りもかなしい


             受粉を待っているかもしれないかすかな希望をたぐりよせ
きりきりと使用できない紐を編みこみ将来を夢見ている蜜の過誤蜜の甘み蜜でないもの
に蜜を感じて溺れていることすら忘れて蜜蜂蜜蜂減少した生態系かなり不具合が生じて
いる模様です大変な事態ですとっくに危機は終わっていてなにをさわいでいるのかしら
感傷だけが不易であるがおずおずと口がうごいて蔓延するゆるやかな死でしょうそれは
気づかぬうちに影が裂けてる美しい狂気ならいい鬱屈した日をかさね迷妄の頬が冷たい


             茎が曲がってのびていきそうして自由な想念を葉にうえつ
けてみどりが欠ける親しい扉が遊具のように小さく小さくちぢこまりやけに明るい昼の
眼目いっちゃいけないことをいってあれは簡素な夢だった無口な鳥をのぞんでいて違犯
の指が騒いでいて聖なる文字を閉じこめてささやかな裏庭を育むことに執しつつ陽気を
装いレッジエーロレッジエーロ坂をころがる情報はとてもおくれて人々の耳にはいり終
わったことがはじまりみたいだレッジエーロレッジエーロなおも土の下で根はものうい


             ラプソディラプソディ温かい風さえも通り過ぎれば疑念の
的だ外はいつも鮮明ではないのだから柔軟なふりをして幼い芽が凍えていてラプソディ
ラプソディそれで審判をはじめる仕組みがやけに悲観に満ちている声の照応語の照応未
知の照応けむりが目にしみてきてごめんなさいわたしが悪いの小鳥の羽をむしっていて
招いた客を燃していてあれはひたすらやさしい調性猶予を脱字と間違える挑発してても
挑発じゃないラプソディラプソディ放棄と防衛がからまりあってほら胸元が猥雑である


             思惑はいつも違っているそれぞれの停滞それぞれの産道の
ディフェレンシアずれていても手をつなぐ集中しないでほしいと思うの障壁は互いにち
がって果実だけがぶらさがるその味だけを楽しみましょう皮も種も存分にむさぼりつつ
あちらとこちら糖度の差異があらわにならないそんな虚構があってもいい高揚が休息だ
ディフェレンシア外界の寝台をもちこんでくちづけて誤写と誤射とが焦がれまじわり句
読点がとてもさみしいここは空隙ですからっぽな容器をかかえいまださすらう子供の足


             雨の夜は空気がおもたくどこかで誰かが泣いている水辺に
たたずむ人を思って懐かしい息づかいにぬくもってみたくなり枝が折れて小瓶がながれ
きらら雫がひかるとき些末な修辞がゆがんでいってガードレールが溶けていく障害物は
なかったのね花粉があんなに飛び散って星を掴みたがっているとめどなくつややかな骨
の匂いと手の感触を初見のように驚いて留保なのか捕囚なのか処置なのか明瞭ではない
鎮静がこうしてはじまり書記の癒しになごんでいる眠ることで引き延ばす貝の口のきわ


             泥炭地に立っていてデクラメーション韻律の種族である不
要なものをいとしんで聖なる遊泳水を無視して水にひたりその特権がうるわしい比喩を
つくりあやふやな陰影を遠方からなおあやふやに囲いこむちがっていてもいいじゃない
夢を夢見て線がかすんで羽ばたく鳥の音がしてデクラメーションそれに合わせ耳を澄ま
す価値はあるのか問いは問いで終わるだけのつまらない物事であるからして嚥下する喉
のイガイガが不意にいたみかわりにあなたの声だけを記憶しそうすれば営みは終了して


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