詩誌詳細「スーハ!」




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詩誌の情報と販売サイト 44プロジェクト Last Updated 2012-05-25

スーハ!8号 表紙画像s.jpg

詩誌紹介

スーハ!

すーは!

発行先

よこしおんクラブ

編集者

よこしおんクラブ

創刊年月日

2007年3月15日

現在までの発刊号数

1号、2号(福井桂子特集)、3号、4号(在庫なし)、5号、6号、7号、8号

同人名

佐藤恵、谷合吉重、陶原葵、野木京子、八潮れん

定価

600円

最新号

8号

最新号執筆者

佐藤恵 谷合吉重 陶原葵 野木京子 ゲスト広瀬弓

最新号特集

往復書簡 広瀬弓×谷合吉重
「私の詩の場所 広島へ、そして難波田へ」

最新号推薦作品

stigma
谷合吉重


そもそも
わたしは触れない
幻影から幻影へ
修正から修正へと
コーラが白いテーブルクロスに零れて
場所をよりわけ道をひろげても
言葉は断じて自由の伴侶ではないと
あてどなく拾う物質よ
誰かと声をだして歓談できないときは
いっきょに全てを踏破してしまおうと
わたしは痩せて
草木の葉裏の一枚一枚を数え
耳は疾うに当てにならず触覚もまた
目癈(めしい)となって実行する性についても
馬鹿らしい出自についても
すでに賽はなげられ
辿り着いた初春の海
そこからは数えられない岬
無数の死体が打ち寄せるなぎさ
ウィスキーは火照った性として
百年の孤独に対する抵抗であった
薄い陽射しが西の空に
夕闇が海を包むようにやってきても
白い腹を見せる蛇の横滑り波の表面
きみは隠して海から離れようとしない
正しき安息がきみを愛でる時を待って
ここから何処に出発しようというのだ
どんな呼びかけにも壊れない
自然な関係の関係として
きみの眼、きみの鼻、きみの頭蓋骨
ながれる思考があるから
Tシャツはいとしさの限界に達し
キャップを外して純粋死量の言語を咽喉に入れる
この見えすいた浦風を
すべての現実を濾過して
その迷彩色のコートの色を
咽喉に焼きつく言語を
風とともに背後から吹き付ける灰色の砂を
見かけだけの揺れとできる日がきたら
街を歩くだろう
同じ色のコートを着て
あらゆることが胸を暗くしても
命はゆらゆらと形をなさぬまま
それらを育てるだろう
stigma
自分の病を当てこすっても
きみはまだ
海から離れようとしない
それはぼくだからだ




光の魚
野木京子



小鬼は日めくりをはぎとって裏にその日の記録をした

     きょう あおきがは らの じゅかい へゆきました。
     むちゅう になりました。
     ………………………………
     すこしだけ 入るつもりだったのに
目の前の けしきから目をはなせなくなり
足も歩み を止めることができなくなり
     うねった樹木 の根を踏み渡って
     水のない海底を進み 目のはしに
光が砕けた魚たちが 宙の背骨で泳いでいた
     どこにもたどりつけなくてもいいという
     当たり前のことを思い出して
     そのままどんどん右足を左足を前へ出していった
     小鬼なので
     ときどき飛ぶようにリズムが歪み
     不均衡に進んでいった
     小鬼のための穴はあいていないか
     小鬼のための穴は
人が見ていないところではきっと 重力が激しい



わたしは帰らなかったのに
いつの間にか家にいて 日記を記していたのか




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