詩誌詳細「狼+」




2009年10月10日、正式オープンしました。皆さまのご利用をお待ちしております。

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詩誌の情報と販売サイト 44プロジェクト Last Updated 2012-05-25

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詩誌紹介

狼+

おおかみぷらす

発行先

狼編集室

編集者

光冨いくや

創刊年月日

2000年11月

現在までの発刊号数

1~18号

最新号

18号

同人名

呼びかけによる自由参加制。18号の参加者は、石畑由紀子、大倉雅恵、落合朱美、木下奏、はんな、文月悠光、望月ゆき、中島真悠子、石川厚志、今鹿仙、加藤思何理、ダーザイン、高岡力、広田修、光冨いくや、志久浩介(表紙画)

定価

600円

最新号推薦作品

秋の調律
文月悠光

 
五本の電線の合間に浮かぶ、乳白色の満月。
私が足を運べば
音調もゆるりと滑り出す。
五線譜を這っていく月光を
この目でとらえて、高らかにうたいたいのに
ときおり、のど奥にグッと光がつっかえる。
その拍子に月は輪郭からこぼれおち、
まぶたの隙間でうるんでしまう。

つま先からてっぺんまで、ゆるんだ口づけで埋めら
れたような文章、私はきらい。口火を切るのは、紛
う方なきこのからだ。さすれば、生まれますかと問
われるいわれも枯れ果てていくので、秋の音階をす
みやかにくだり、自らの脈拍をそらんじる。

   私にやさしい男
     男にやさしい私
       どちらも食えやしない、火を放つ

空は山の頂に緋色のスカーフを結わえつけ、
まっかに真っ赤に微笑んでいる。
山の隅々で〝きざし〟が色めく。
誰も口に出さないけれど
あれは私の投げやった、夏の残り火なのだ。
立ちあらわれた影を
みだらな暗幕として掲げ持つ。
しらべの狂いを踏み抜いて
私は秋を調律していく。

虫の声は髄にも刺さりゆく。
その際やかな呼応。
「ないているのではありません、
呼んでいるのです」
私はそれにこたえねばならなくて
ひしと月影をちぶさにひきよせている。


魚屋のさかな
はんな


魚屋のさかなは
もうじき食べられることを知っているはずなのに
なぜかひとなつこい
目をぎょろぎょろさせながら
私が行くところにどこまでも
いけすの中をついてくる
あっちへ行くとあっちへ行く
こっちへ来るとこっちへ来る
そのたびに上唇をふわふわさせる

無表情だったさかながかすかに笑った
目に愛嬌がある
それから尻尾を小さく振った
さかなは空気のジェットに顔をつっこんで
口をぱくぱくさせながら一回転してみせた
運命の短さに嘆くこともなくおどけてみせる

切ないヤツだ
今晩さしみにされてしまうかもしれないというのに
何しろこのいけすに放されたさかなで
二日といたのを見たためしがないからね

さかなはしばらく私のそばでゆらゆらしていたが
やがてきびすを返してあっちへ行ってしまった

あいつは今ごろ誰の皿に乗っているんだろう



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